これは僕がコンサルタントになった10年以上前からずーっと言い続けていることなんですけど、今はエステ&ネイル&アイラッシュみたいな複合店よりも専門店が選ばれます。
これはわかっている人にはわかっている話なんですけど、わからない人はマジで理解してくれません。
ぶっちゃけ、複合店を経営するのと専門店を経営するのでは、ビジネスの難易度にかなり差があるので、ちゃんと理解したほうがいいです。
最初はみんな専門店を経営していた?
美容サロンや治療院を開業する人って、普通はどこかのお店で働いていて、実績を積んで、お客様を引き連れて独立という流れで独立する人が多いわけじゃないですか。
今は複合店を経営している人も、最初は専門店だったという人が多いと思うんですよね。
にもかかわらず、どこかのタイミングで複合店になってしまっているわけですよ。
それは、なぜなのかというのを考える必要があります。
昔は複合店が当たり前だった
複合店が生まれる背景を考える前に、時代の流れのお話をします。
実は、インターネット登場前は複合店が繁盛していました。
わかりやすいところで言うと、たかの友梨でしょうかね。
広くいってしまえばエステサロンですが、フェイシャル、ボディ、脱毛、ブライダルなんでもやるという感じ。
地方のトータルビューティーサロンだと、さらにまつげパーマやネイルを併設しているお店が多かったと聞きます。
当時はそれでも売り上げが上がっていたので、複合店でも全然良かったんです。
複合店の売り上げが上がる理由
複合店でも売り上げが上がっているお店は、一言で言ってしまえば、
専門店がないから
です。
昔は、今ほど独立が簡単ではありませんでした。
今はインターネットやSNSがあるので、お店オープンの告知をしたり、独立前にSNSで繋がったりすることができますが、昔はポスティングやタウンページなど、紙媒体しかありませんでした。
さすがに紙媒体だけでの集客は難しく、駅やバスや役所などに広告を出さなければならず、今よりも新規集客にお金をかけないと集客できませんでした。
個人が独立しやすくなったことにより専門店が増える
インターネットが登場したことにより、個人での独立ができるようになりました。
今は、飲食店や美容院など、開業の条件が厳しいビジネスを除けば、100万円もあれば独立できると思います。
独立する人って、大手サロンのやり方に不満を持っている人が多いので、
私はもっと○○にこだわろう
という思いで経営していく人が多いです。
その結果、必然的に専門店が生まれやすくなります。
あなたはどんなお店を選んでいる?
専門店の優位性がわからない人は、自分事で考えてみましょう。
あなたが、小顔になりたくてエステサロンを探していたとします。
☑️美容院&エステ&アイラッシュ&ネイルのトータルビューティーサロン
☑️フェイシャル&ボディ&脚痩せのトータルエステサロン
☑️小顔専門のフェイシャルエステサロン
があったとして、値段や場所などの条件が同じ場合、どこを選びますか?
ほとんどの人が、小顔専門のフェイシャルエステサロンを選ぶでしょう。
もう1つ。
あなたが、パスタを食べたいと思ってお店を探していたとします。
☑️ファミレス
☑️老舗の洋食屋
☑️パスタにこだわりがあるイタリアン
どこを選びますか?
その食べたいパスタがナポリタンではない限り、パスタにこだわりがあるイタリアンを選ぶでしょう。
選ぶでしょうというか、実際に今までお客さん側として選んできているはずです。
パスタ食べたいと思ってファミレスを選ぶ人っていないと思うんですよね。
子供がいるからという理由でファミレスを選ぶ人もいると思うんですけど、それはもはやパスタを食べたいよりも子供と行けるお店が最優先事項になっているわけで、パスタを食べたくて選んでいるわけではありません。
居酒屋を見ても、昔は和民や庄屋などのなんでもある居酒屋が選ばれていたと思いますが、今は鳥貴族や串カツ田中などの専門店が選ばれています。
世の中の流れがそうなっているので、この流れに抗うのは難しいと思ってください。
ファミレスやコンビニはなぜ選ばれる?
余談ですが、一見、複合店に見えるファミレスやコンビニはなぜならくならないのかわかりますか。
ファミレスなどの1対多のファミリー相手のビジネスだからです。
家族ごとに食べたいメニューが違うので、メニューが豊富にあったほうがいいのです。
ファミレスは、飲食のジャンル的に専門店ではないってだけで、“家族で行けるお店”という括りで見たら専門店っぽいくくりなんです。
コンビニがなくならない理由は、完全に営業時間と立地の優位性です。
コンビニは、24時間営業の専門店みたいなものです。
もしコンビニがあなたのお店と同じ営業時間だったら、間違いなく潰れていると思います。
こんな感じで、必ずしも商品やサービスで唯一性を取らなくてもいいというのは覚えておいてください。
複合店の人でもできる応急処置
ここまでの話で複合店に未来はないというのは理解してもらえたと思うのですが、複合店の人でもできる応急処置的なお話をしておきます。
それは、集客用の媒体をジャンルごとに分けるという方法です。
ネイル&アイラッシュなら、
・ネイルのインスタ
・ネイルのホットペッパー
・ネイルのホームページ
と、
・アイラッシュのインスタ
・アイラッシュのホットペッパー
・アイラッシュのホームページ
に分けて作ればOKです。
結局、複合店の集客における1番の問題点って、集客活動時に価値が伝わらないことなんですよね。
当たり前の話ですけど、あなたのお店の価値が伝わらなと集客はできないわけです。
ネイルサロンを探していたお客さんが、ホットペッパーを見たらアイラッシュの情報ばかりで、ネイルのクーポンを探せないみたいなことが起こっているわけですよ。
そうならないために、媒体を全て分けて入り口だけでも専門店っぽくするというのが、複合店が取れる最適な処置です。
入り口が専門店なら、実際のお店は複合店でもOK
例えば、フェイシャル専門店として集客しておいて、オプションでボディや脱毛などを勧めるのはOKです。(もちろんその人に必要ならですよ)
入り口がネイルサロンで、お店に行ったらアイラッシュもエステもあるというのも、最悪OKです。
もちろん、個人店だと思って来店したら、複合店で他のお客さんもいたとかだと、かなりのマイナスになると思いますけど、それ以外の部分ではさほどマイナスにはならないと思います。
1番の問題は集客活動時に価値が伝わらないことなので、そこがクリアになれば後のことはいくらでも挽回するチャンスはあります。
なので、媒体を完全に分けてください。
現実的にできないお店がほとんど
正解らしきものを理屈で説明すると以上で、ほとんどの人は理解できる話だと思うんですけど、実際に媒体を分けられる人ってほとんどいません。
なぜなら、そもそも複合店を経営する人って、1人でリスクを負いきれない人だと思うんですよね。
自分の売り上げだけで家賃を払っていくのは大変だから、他の人を入れよう。でも、自分もそこまで集客できているわけではないから、他の業種を入れて、そのお客さんが自分にも流れてきたらいいな。こっちからも流せるし。
みたいな思考の人がほとんどだと思うんですよ。
この考え方の何がダメなのかわかりますか?
たぶん、わかる人は一瞬でわかると思うんですけど、この考え方のダメなところは、全て自己都合だからです。
自分が楽するために複合店にしてしまっているのがダメです。
お店側の楽はお客様にとっての手間
覚えておいてほしいのですが、ビジネスにおいて、自分が楽をしようとしたところがお客様にとっては手間になります。
そして、お客様というのは、自分でやると面倒だと思う手間を省くためにお金を払うわけです。
なので、あなたが楽しようとすればするほど、手を抜こうとすればするほど、リスクを負わなければ負わないほど、お客様に選ばれなくなっていきます。
お金をもらうということはそういうことなので、肝に銘じてもらえたらなと思います。
複合店が専門店に勝つ方法
唯一と言ってもいいと思うんですけど、複合店が専門店に勝つ方法というのが存在します。
それは、
あなたみたいになりたい!
と思われることです。
要は、店員が田中みな実で、うちのお店でエステとネイルとマツエクをやれば私みたいになれますよって言われたら、みんなお金を払ってくれるわけじゃないですか。
その状態に持っていけたら、複合店とか専門店とか関係なくなると思います。
ただ、その状態に持っていくのってめちゃくちゃ難しいじゃないですか。
だから、僕は専門店にして経営したほうが、楽に売り上げが上がると思っています。
勘違いしないでほしいのが、別に複合店は100%売り上げが上がらないというわけではありません。
全国を探せば、売り上げが上がっている複合店なんていくらでもあるでしょう。
でもそれは、運よくライバルとなる専門店が無かったり、スタッフが薄給でしのいでくれているからであって、決して複合店だから選ばれているわけではないので、そこだけは勘違いしないでほしいなと思います。
繰り返しになりますけど、時代の流れには抗えないので、専門店が選ばれやすい時代なんだというのを理解してもらえたらなと思います。