ターゲットとは?
まずは、ターゲットという言葉の意味を知らない人のために、言葉の意味から説明します。
Googleで検索すると、
目標。まと。特に、商品の販売活動でねらった購入層。
と出てきますが、これをお店に置き換えると、お店に来てほしい対象を絞り込んだものをターゲットと言います。
マーケティング業界では、お店に限らず「ビジネスを始める時はターゲットを決めなければいけない」という常識があり(後述しますが、最近はターゲットを決めないやり方を推奨する人も増えています)、僕もそのほうが成功率が高いと思っているので、ターゲットを決めるところから教えています。
なぜターゲットを決めないといけないのか?
そもそも、「なぜターゲットを決めないといけないのか?」という話からなんですが、別に昔は決めなくても良かったんですよ。(昔というのは、20年くらい前のお店の数自体が無かった頃です)
お店が無いということは、必然的に僕ら消費者側の選択肢がないわけで、好みじゃなかったとしても、そのお店に行くしかなかったわけですね。
ただ、お店が増えてニーズ(=必要)が満たされていくようになると、ウォンツ(=欲しい)を満たすお店を欲するようになります。
カップラーメンで例えるとわかりやすいんですが、戦後はラーメンを家で手軽に食べれませんでした。
そこで、日清のカップヌードルが登場し、バカ売れしました。
これはチャンスだと思い、他社がこぞってカップラーメン業界に参入しました。
選択肢が増えたことによって、今度は、ユーザー側でこんなラーメンが食べたいという欲求が出てきました。
元々は「家で手軽にラーメンが食べたい」だったのが、今は家でラーメンが食べられるのは当たり前で、さらに「自分の好みのものが食べたい」に変わっていったんですね。
それに伴い、
・辛いラーメン
・有名店とコラボしているラーメン
・大きいサイズのラーメン
・麺にこだわっているラーメン
など、お客さんの細かいウォンツを満たす商品が出てきました。
これと同じことが、現代のあらゆるジャンルの店舗で起きています。
治療院なら「なんでも治します」よりは、「腰痛専門」が選ばれるような時代なんです。
エステサロンなら「トータルビューティ」より、「ニキビ専門エステサロン」が選ばれる時代です。
時代の流れ的にそうなってしまっているので、抗わずに認めましょう。
ペルソナを決める
ペルソナとは、ターゲットを1人に決めることです。
僕が「ターゲットを決めてください」と言うと、「30代~40代の美意識が高い人」みたいな漠然としたターゲットを設定してくる人が多いんですが、それではダメでターゲットは1人に決めてください。
例えば、42歳既婚の美意識が高いキャリアウーマンと33歳未婚の美意識が高い実家で家事手伝いのシングルマザーでは、同じ「30代~40代の美意識が高い人」というカテゴリで括れはしますが、悩みも使えるお金も通える時間も全く違うというのがわかると思います。
普通に考えて、
「そこのあなた」
と言われるよりは、
「そこの黒いメガネをかけたあなた」
と呼ばれたほうが自分のことだと感じますし、
「そこの黒いメガネをかけたワンピース姿のあなた」
と呼ばれたほうがより自分のことだと感じるでしょう。
こんな感じで、細かく情報を設定して、その人を意識して文章を書いたり写真を撮ったりすれば、反応してもらえる可能性が高くなります。
ペルソナの設定例
簡単なペルソナの設定例をお見せします。
性別:女性
出身地:千葉県松戸市
所在地:千葉県市川市
最寄駅:本八幡駅
勤務先:大黒屋
勤務形態や役職:週3回のアルバイト
家族構成:旦那+子供2人(子供は保育園)
年収:世帯収入は年収1000万円
手取り収入:旦那から毎月35万円+アルバイト代8万円
食費:月10万円
飲み代:0円
ファッション、コスメ等:月1万円
美容・ボディ・ヘルスケア:月1~2万円
その他:学資保険月3万円
僕がコンサルをする時はこの3倍くらいの項目を埋めてもらいますが、上記の設定だけでも色々なことが読み取れると思います。
例えば、旦那から毎月35万円も貰っていてもアルバイトをしているわけですから、お金があるように見せかけて、年収ほどの余裕はないですよね。
主婦で子供が小さいということもあり、美容にそこまでのお金はかけないと思います。(もちろんお金をかけられるパターンもあるのでそこはリサーチ次第です)
あとは、子供が小さいので、18時以降の来店は見込めません。
逆に朝早い来店は見込めるので、朝9時くらいからオープンしたら集客できる可能性が高くなるでしょう。
全体的に子供中心の生活だと思われるので、「朝の化粧時間が短縮できます」とか「子供に『ママきれい!』って言われたくないですか?」みたいなキャッチコピーに反応すると思います。
逆に、子供が小学生とかになって手が離れてきたら、今書いたようなキャッチコピーでは集客できなくなります。
こんな感じで、ペルソナを設定すると、色々なことが見えるようになります。
1人に決めたらペルソナに近い人以外は来なくなる?
「ターゲットが30代から40代なんですけど、35歳の人にペルソナを設定したら40代の人は来なくなるんですか?」みたいな質問をよくされます。
結論から言うと、ペルソナからかなり遠い人以外は来ますので安心してください。
わかりやすく言えば、50代の主婦で子供が成人の人をターゲットにしたら20代学生は来ない可能性が高いでしょう。遠すぎますから。
たた、40代の主婦で子供がもうすぐ成人という人だったら、ペルソナと似たような人生を送っていると思うので、来てもおかしくないと思います。
参考までに、今見てもらっている、このサイトのペルソナは、
業態:個人サロン
家族構成:独身
月商:50万円
年齢:30歳
場所:桜新町駅
という感じなんですけど、あなたがこれにドンピシャで当て嵌まっているのかといったそうではないと思うんですね。
でも、このサイトに辿り着いて、ここまで読んでくれていますよね。
それと同じで、1人の人に向かって文章を書いたとしても、それに近いような状況の人は読んでくれるので安心してください。
ペルソナは実在している人じゃなくてもOK?
「ペルソナって実際のお客さんじゃなくて架空の人物でもいいですか?」という質問もよく受けます。
答えとしては、「架空の人物でもOK」ですが、注意点が1個だけあります。
架空の人物をペルソナに設定してしまうと、あなたのお店の商圏にペルソナに近い人がいなく全く集客できないという可能性が高まります。
それなりの規模の企業が行っているペルソナ設定は架空の人物であることがほとんどだと聞きますが、それは商圏が全国だから成り立つのであって、商圏が限られている個人店だとその人物像に当て嵌まる人がいないということもありえるんですね。
そのリスクをとってでも、その人物像の人に来店してもらいたいというならチャレンジしてもいいと思いますが、そうじゃないなら実在する人物をペルソナにするほうが無難です。
実際に僕のコンサルを受けている人は、ほぼ100%実在の人をペルソナにしています。
自分よりも上のステージの人をペルソナにしない
ペルソナは自由に選べるからと言って、誰を設定しても上手くいくというわけではありません。
よくあるのが、自分よりかなり上のステージの経営者をペルソナに設定してしまうパターンです。
経営者の人は金払いがいいですから、設定したくなる気持ちもわかるんですが、
性別:女性
出身地:千葉県松戸市
所在地:千葉県市川市
最寄駅:本八幡駅
勤務先:自営業
勤務形態や役職:代表取締役
家族構成:旦那+子供2人(子供は2人とも成人)
年収:2000万円
手取り収入:月100万円
みたいな人をペルソナに設定してしまうと、結果的にペルソナの気持ちを理解できず、的外れなことをしてしまう可能性が高いです。
的外れというのは例えば、メニューを増やし続けるとかですね。
経営者に限らず、ある程度お金に余裕がある人というのは、無駄な選択を嫌います。
その選択をしている時間がもったいないからです。
なので、基本的にはメニューが少ないお店を好みますし、さらにいえばオーダーメイドの1メニューを好みます。
でも、色々な業界を見ていると、新メニューを増やすことに躍起になっていますよね。
なぜ多くのお店が新メニューを増やす方向に行くのかというと、その人たち自身の価値観が安っぽいからです。
メニューを増やすということは言わばショッピングモールのフードコートのようなものです。
フードコートに集まる人って、決して高いお金を払わないですよね。
こんな感じで、自分よりステージが上の人を設定してしまうと、トンチンカンな行動をとってしまいがちなので注意してくださいね。
ペルソナ設定シートを公開
ターゲットを1人に決めることをペルソナと言います。
僕のコンサルやホームページ作成サービスでは、以下のようなペルソナシートを埋めてもらっています。(パソコンの人はクリックで拡大します)
ペルソナを設定すると、色々なものが自動的に決まってきます。
例えば、フルタイムで働いている人がターゲットなら、平日昼よりは夜や土日のほうが通いやすいと思うので、21時まで営業して土日もあけたほうがいいでしょう。
小さい子供がいる主婦がターゲットなら、夜や土日に通うのが難しいと思うので、朝9時くらいから営業したほうがいいでしょう。
逆に、あなた自身が小さい子供がいて、夕方までの営業しかできない場合は、必然的に働いている人はターゲットにしないほうが無難です。
普段、ドラッグストアで化粧品を買っている人と、百貨店やエステサロンで化粧品を買っている人でも、書くべき文章は変わってきますし、体調を崩したらすぐに病院に行く人と、病院には絶対に行かない人でも、書く文章は変わってきますよね。
こんな感じで、1人の人に決めると色々なものが見えてきますし、書く文章にも困らなくなります。
ペルソナが決まったら文章が変わる
ペルソナが決まることによって一番変わってくるのが、あなたが書く文章です。
読み手側からすると、「そのこあなた」と言われるよりも「そこのメガネをかけているあなた」と言われるほうが自分事に感じますし、「そこのメガネをかけた赤い帽子をかぶっているあなた」と言われたほうがさらに自分事に感じますよね。
具体的に絞れば絞るほど、相手に響く文章が書けるようになるんです。
言われてみれば当たり前の話なんですが、意外とできているお店がありません。
ほとんどのお店が「こういうお店を作ったから来てください」という自己中満開の文章を書いて集客しようとします。
「こういうお店」をやっているライバル店が他に無く、かつそれがお客様に需要があるコンセプトであればいいですが、その両方を満たしているお店はほとんどありません。
だから、どの業界のどのお店も集客で苦戦し、5年で8割が廃業していくんです。
せっかく夢と希望をもって作ったお店が廃業してしまうなんて、こんな悲しいことはないと思うので、そうならないようにちゃんとペルソナを設定し、リサーチをして、ペルソナが求めるお店を作り上げてください。
ターゲットを決めないで集客する方法
ターゲットを決めないで集客する方法に関しても言及しておきますが、その方法で集客している人もいます。
キラキラ女子やYouTuberを含む、「好きなことをやって生きていく」系の人たちなんかはそのやり方ですね。代表はキングコングの西野さんやホリエモンあたりでしょうか。
あなた的にわかりやすいところだと、あなたの業界の有名な講師の方たちがこのやり方を取っていると思います。
要は芸能人的な集客方法ですね。
自分が楽しいと思うことをやって、それに共感する人を集めたら人生めっちゃ楽しいし、仕事とプライベートとか分けて考える必要なくなるよね的な考え方です。
別にこの考え方が間違っているというわけではなく、今の僕もこの状態に近いわけですが、この考えでお店をやると売り上げが上がらない人が多いです。
なぜかというと、確実性がないからです。
この考え方は、自分が好きなこと=他人が好きなことというのが前提ですが、その自分と趣味が合う他人というのが、お店の商圏どれくらいいるのかがわかりません。
もしかしたらたくさんいるかもしれないし、0人かもしれません。
仮にたくさんいたとしても、その人たちに認知されるのが半年かかるんだとしたら、お店は維持できないですよね。
だから、僕はオススメしていません。
ターゲットを決めないなら毎日更新は最低条件
ターゲットを決めないで活動するとなると、いわゆる響く文章を決め打ちで書けなくなるので、認知活動を頑張らないといけません。
更新頻度でいうなら、
・ブログ1日1回
・インスタグラムのストーリー1日5回
・Facebook1日5回
・ツイッター1日30ツイート
くらいはしないと話にならないでしょう。
実際に先ほど名前を出した西野さんやホリエモンはそれくらいやっていますよね。
それができますかって話で、できる人はやればいいと思いますし、僕は自分ができないのでそのやり方をオススメしていないという感じです。
で、僕のところに来る人は僕に共感していると思うので、僕と同じで低単価で毎日更新とかできないと思うんですね。
だから、ターゲットを決めるの一択しかないと思っています。
売り上げが安定してから好きなことをやる
先ほど、今の僕もこの状態に近いと書いたのは、ターゲットを絞ってお金を稼げるようになったので、売り上げ関係なく好きなことをできるようになったという話です。
言ってしまえば、僕にはブランドができたので、そのブランドで生活できるようになり、趣味でやりたいことができるようになってきています。
お店の人も同じ流れを辿ったほうがいいと思っていて、まずはターゲットを絞って新規客を断るぐらいのお店に成長させてから、そこで得たお金で自分のやりたいビジネスをやればいいと思います。
そのほうが確実に上手くいくので、不安症の人でも上手くいくと思いますよ。