「ペルソナを設定してみたけど、なんだかしっくりこない」
「設定したのに、結局発信に活かせていない…」
そんな違和感を抱えているサロン経営者の方は、実は少なくありません。
これは、架空の人物を設定してしまっているのが原因であることが多いです。
あなたのやり方が間違っているというよりは、教えている側に問題がある感じですね。
そもそもペルソナというのは、架空で設定するものです。
Googleで検索したら、AIからこのような答えが返ってきました。
ペルソナは、ターゲット顧客をより具体的に表現した、架空の人物モデルです。例えば、年齢、性別、職業、年収、家族構成、趣味、ライフスタイル、価値観など、詳細な情報を設定します。
なので、多くの人が架空で設定してしまうのは仕方が無いし、やり方としては間違ってはいません。
でも、個人サロンの場合、架空のペルソナを設定するとうまくいかないケースがほとんどです。
失敗の典型例:「机上の空論」になってしまう
ここでいう“架空の人物”とは、実在しない理想像や、都合のいいお客様像を寄せ集めて作ったペルソナのこと。
例えば、
✔「こんなお客様が来てくれたらいいな」と頭の中だけで作る
✔ChatGPTやAIツールに丸投げして、そのまま使う
✔来ているお客様の良いところ(20代・美容意識高い・高収入)を組み合わせる
みたいな感じ。
このような感覚で設定したペルソナは、現場のリアルや、実際のお客様の言葉が含まれていないので、実際に媒体に反映させようと思ったの時に、どうしても「机上の空論」になってしまいがちです。
AIやツールが“悪”なのではなく、「リアルに触れていない」ことが問題
ここで誤解しないでほしいのは、ChatGPTのようなAIツールを使うことがダメなのではないということです。
AIツールは、アイデア出しや傾向を把握するツールとしては非常に優秀で、「言語化が苦手…」という方には強力なサポートになります。
でも、自分の現場を知らないAIに完全に丸投げして、出てきた文章をそのまま使ってしまうと、そこには現場の温度感や実感値が抜け落ちてしまうのです。
どこかで聞いたような綺麗な言葉、でも誰にも刺さらない。そんな文章になってしまうのは、ペルソナが架空の人物だからです。
お客様の「良いとこ取り」も、実は危険
「うちのサロンって、20代後半で美容に関心が高くて、収入もそこそこあって、丁寧に通ってくれる人が理想…」
もちろん、理想像を描くのは大切なことです。
でも、“全部が都合のいい条件”でまとめられたペルソナは、実在する確率が非常に低い。
現実には、
▶ 時間はあるけどお金がない人
▶ お金はあるけど時間がない人
▶ 美容意識は高いけどめんどくさがりな人
そんな“ギャップ”や“矛盾”を抱えた人が、あなたの大切なお客様です。
矛盾や感情の揺れがあるからこそ、共感が生まれ、あなたのサービスに価値が生まれるのです。
そして、その「矛盾に寄り添える文章」こそが、本当に刺さる発信になります。
解決策:「実在する誰か」を思い出すことから始めよう
架空ではなく、リアルなペルソナを設定する一番の方法は、「実際に来てくれたことのあるお客様」や「今も通ってくれているあの人」を思い浮かべることです。
なぜその人はサロンに来てくれたのか?
どんな悩みを抱えていたのか?
初回のカウンセリングで、どんな言葉を口にしていたか?
このように、実在する“あの人”を思い出しながら、人物像を深掘っていくと、自然にリアルなペルソナが出来上がってきます。
ペルソナ設定とリサーチはセット
架空のペルソナで失敗する理由の一つとして、リサーチの重要性がわかっていないというのがあります。
架空のペルソナということは、悩みなども架空ということになります。
お店側が想像するお客様の悩みは一般的なものがほとんどだと思いますが、お客様からしたら悩みというのは個別具体的です。
それぞれが別の人生を歩んできて、別々の苦悩を抱え、別々のストーリーで来店してきます。
その個別具体的な部分はAIに聞いてもわかりません。
ペルソナの悩みはペルソナに聞くしかないのです。
ペルソナは設定したところがスタート
ペルソナは設定したところがゴールではありません。
設定したところがスタートで、リサーチをし、リサーチ結果を言語化し、それを媒体に反映し、テストを繰り返していくまでがセットです。
この流れを理解していれば、実在するペルソナを設定するべきだというのが理解できると思います。
架空のペルソナを設定してうまくいくこともあるとは思いますが、基本的には失敗率が高い方法なので、実在する人をペルソナに設定しましょう。
なぜ架空の人物を設定するのか?
余談ですが、なぜ架空のペルソナ設定が流行っているかというと、僕は大企業が原因だと思っています。
大企業が架空のペルソナを使って新商品を開発するのは、間違いではありません。(それ系の本を何冊か読んだことあります)
でも、多くの人が理解していないのですが、大企業は失敗を前提に設計しているのです。
たとえば、ハーゲンダッツの季節限定フレーバー。
あなたもスーパーで見かけたことがあるのではないでしょうか?
でも、実際に売れ続けて毎年定番化するフレーバーは、ほんの一握りです。
9割は失敗していると言っても、過言ではありません。
それでも企業が新商品を出し続けられるのは、資金力があり、失敗しても倒れないだけの体力があるから。
また、失敗したデータが次の商品開発に活かされるという仕組みが整っているからです。
つまり企業は「失敗を繰り返して、その中から当たりを見つける」ことを前提にして動いています。
一方で、個人サロンはどうでしょうか?
1回の発信、1つのメニュー、1つの導線設計。
すべてが経営に直結する現場で、9割失敗前提の打ち手を続ける余裕はありません。
むしろ、「限られた時間とリソースで、1つ1つの発信や企画を当てにいく」必要があります。
そうでなければ、売上が上がらないどころか、経営が傾くリスクすらあります。
だからこそ、私たちは“都合のいいストーリー”に影響されすぎてはいけないのです。
ということで、個人サロンは架空の人物ではなく、実在の人物を設定するようにしましょう。