「高単価サロンにしたいから、富裕層の女性をペルソナに設定しました」
「経営者向けにした方が単価が上がりそうなので、ターゲットを切り替えます」
ペルソナ設定の現場では、こういった声をよく耳にします。
もちろん、“理想のターゲット”を描くことは悪いことではありません。
ですがここでひとつ、とても大切な落とし穴があります。
それが、「自分が理解できない相手をペルソナにしてしまう」という失敗です。
ステージが違いすぎる相手は、共感しづらい
たとえば…
✔年収2,000万円、外資系企業でバリバリ働いている女性
✔忙しくても美容医療にお金を惜しまない40代の港区マダム
✔子育てと介護と経営を同時にこなすスーパーウーマン
こうした人物像は、たしかに魅力的に見えるかもしれません。
でも、あなたがその人の感情や日常にリアルな理解を持てていないなら、文章も提案も、薄っぺらくなってしまいます。
✔どんな言葉に反応するのか
✔どんな小さな悩みに引っかかっているのか
✔なぜその価格でも通いたいと思うのか
その背景をなんとなくでしか語れないと、自然と「刺さらない発信」になります。
設定と理解は、必ずセットでなければならない
ペルソナ設定というのは、“設定すること”自体に意味があるのではなく、「その人のリアルな日常や悩みを、あなたがどれだけ理解しているか」が重要なんです。
たとえば、以下のような状態では失敗する確率が高くなります。
✔実際にその層のお客様に会ったことがない
✔どこで何にお金を使っているのか想像できない
✔どういう時に不安を感じ、どうやって判断をするのかが分からない
プライベートの場でも理解できない人を相手にしても、会話は噛み合いませんよね?
ペルソナ設定も同じです。
「高単価=富裕層」は危険な思い込み
とくに最近、「高単価にしたいから富裕層をペルソナにする」という話をよく聞きます。
でも実際には、富裕層=高単価OKなお客様とは限りません。
むしろ、経営目線で冷静に判断する分、価格や価値にとてもシビアな方も多いのです。
それよりも、
✔普段は節約しているけど、美容だけは自己投資と考えている40代女性
✔子育てが落ち着いて自分のケアを再開したい主婦
✔人前に出る仕事で「見た目の清潔感」が必須な接客業の方
こうした「価値を理解し、投資する理由を持っている人」のほうが、実は高単価サロンに向いていることも多いのです。
確かに富裕層は「(自分や旦那などの)収入が減った」という理由で離脱することはほぼないので、顧客になってもらえたら経営は安定します。
ただ、理解という視点で見たら、多くの個人サロン経営者にとって、継続して通ってもらうにはハードルが高いと思います。
解決策:「今、あなたが一番リアルに理解できる人」に戻る
✔悩んでいたころの自分に似ている人
✔よく来てくれているあの常連さん
✔仲がいい友達
こうした実感のある誰かをベースにペルソナを組み立てると、自然と、言葉も、導線も、提案も、芯のあるものになります。
そして不思議と、その人に似たようなお客様が、集まってくるようになるのです。
僕自身も、最終的には高単価サロンにシフトしていくことを推奨してはいますが、いきなり世の中の全員が高単価サロンになれるとは思っていません。
まずは自分の身の丈に合ったペルソナを設定し、新規の予約を断るくらいになってきたら、その時にペルソナを変えるというやり方を目指しましょう。