「〇〇円ならやってもいいかな」
「高いね〜。〇〇はもっと安くやってくれるよ」
「お友達価格ないの?」
「これでその値段するんだ?」
こんなふうに、心無いことを言われてメンタルをやられていませんか?
値下げをして集客しても、また値下げする競合店が現れて、価格競争の終わらないループに巻き込まれてしまう。
これは、美容サロン経営において最も苦しく、そして最も消耗する戦いです。
大手サロンだったら薄利多売でも人をたくさん雇って利益は出せますが、個人サロンが同じことをやったら利益が出ずに倒産してしまいますよね。
でも、実はこのループから抜け出す方法があります。
それが、「ペルソナを設定すること」です。
価格競争に巻き込まれる原因
そもそも、価格競争に巻き込まれてしまう人って、価格競争の本質を理解していない人がほとんどだと思います。
価格競争が始まってしまう本質は、伝わっている価値が同じだからです。
牛丼業界がわかりやすいですが、多くの人にとって、吉野家・松屋・すき家の価値は同じです。
すごく牛丼が食べたいとなった時に、徒歩1分の所にある吉野家に行かずに、車で1時間のところにある松屋に行く人は稀です。
一部の熱狂的なファンを除けば、3社とも同じに見えるので、近いところか安いところに行くわけです。
手に入りづらいものは価値が高くなる
また、別の視点として、
手に入りづらいものは価値が高くなり、手に入りやすいものは価値が安くなる
というのもあります。
コロナ禍のマスクや、2025年に米の価格が上がりましたが、あれは単純に手に入りづらいからですよね。
その視点で見ると、旬のメニューを取り入れると、周りのお店も取り入れているので価格競争に入りやすくなります。
価格競争に入ったら、資金力があって薄利多売が可能な大手が圧倒的に有利になるので、個人サロンは疲弊します。
なので、個人サロンのやり方としては、旬やブームに流されずに、自分の信じた道を貫き通すことです。
「高い」と思われるのは、価値が伝わっていないだけ
サービスの価格が同じでも、「高い」と感じる人もいれば、「安い」と感じる人もいます。
違いは、提供する側(あなた)が伝えている価値ではなく、受け取る側の認識にあります。
例えば、1万円のフェイシャルエステ。
Aさんには「高すぎる」と思われ、Bさんには「これで1万円なら安い」と言われる。
この違いは、「誰に届けているか」が明確かどうかにかかっています。
つまり、あなたの価値を“正しく受け取ってくれる相手”に届けることができれば、高いと思われることはないのです。
ペルソナを設定すると、価値が伝わる相手に届く
では、どうすればあなたのお店の価値を正しく伝えられるのでしょうか?
その答えが、「ペルソナ設定」です。
ペルソナとは、
「あなたのサービスをもっとも必要としてくれる1人の理想客」
のことです。
例えば、以下の2つならどちらが43歳の主婦山田花子さん(ペルソナだとします)に響くと思いますか。
「誰でも来てください」
「毎朝、子どもを送り出した後に鏡を見るのがつらくなる。そんな40代の主婦の方へ」
山田花子さんが相当ひねくれていない限り、下のほうが響くのは誰でもわかると思います。
誰でも来てほしいと思うのは自然なことだと思います。
でも、誰でもに向けた発信は、誰の心にも届かないのです。
ペルソナを具体的に設定することで、その人が求めている価値や悩み、ライフスタイルに合わせた表現ができるようになります。
「価格」ではなく「価値」で選ばれるための言葉を使う
ペルソナが定まっていないと、
「特定のメニュー名」
「丁寧な施術」
「高品質な商材を使用」
「リラックスできる空間」
「アットホームな接客」
といった、他のサロンでも言っているような当たり障りのない言葉に頼ってしまいがちです。
実際、ホットペッパーのキャッチコピーはこれらの言葉で溢れていますよね。
これは、お客様にとって違いが分からない=価格比較されやすい状態をつくってしまいます。
一方でペルソナが明確だと、こんな言葉が書けるようになります。
「夕方の鏡に映る自分を見て落ち込まない。朝のメイクが夜まで続く、ママのためのまつげパーマ」
「40代以降の肌に特化したフェイシャル。乾燥・くすみ・たるみに集中アプローチ。月1で『若返った?』って言われたいあなたへ」
こうした言葉は、価値を感じてくれる相手にしっかり届きます。
価格を比べるより先に、「これ私に必要!」「ここは私のためのお店だ!」と思ってもらえるから、値段を下げなくても選ばれるサロンになれるのです。
「高い」と言われなくなると、心がラクになる
サロン経営において、「高い」と言われ続けることほど、メンタルが削られることはありません。
「また安くしなきゃダメかな…」
「もっと特典つけなきゃ来てくれないかな…」
そんなふうに、サービスの価値が疑われるたびに、自信を失っていきます。
でも、ペルソナを設定して“価値が伝わる人”にだけ発信すれば、そもそも「高い」と言われることが減ります。
それどころか、
「この金額でここまでしてくれるんですね!」
「この内容なら納得です。ぜひ通いたいです」
「安すぎじゃないですか!?」
という声が増えていきます。
値段を下げなくても喜ばれ、通ってくれる人が集まってくるのです。
価格競争から抜けたいなら、最初にやるべきこと
「今の価格で今後ずっとやっていくのはしんどい」
「値上げしたいけどお客様が離れてしまわないか不安」
と悩む前に、まず見直してほしいのは、その金額に価値を感じてくれる相手を設定しているかどうかです。
価格競争に巻き込まれたくないなら、「価格」ではなく「価値」で選ばれるサロンを目指すべきです。
そして、その第一歩がペルソナ設定。
自分のサロンの価値を認めてくれる人は誰か?
どんな悩みを持っていて、どうなりたいと思っているか?
どんな言葉で話しかければ、「私のことだ」と思ってもらえるか?
これを明確にすれば、あなたは価格に振り回されるサロン経営から、価値で選ばれるサロン経営にシフトできますよ。