美容サロン経営で、スタッフに関する悩みは尽きません。
「採用してもすぐ辞めてしまう」
「価値観が合わず、接客の温度差がある」
「お客様から“前のスタッフと違って雑だった”とクレームがくる」
「理念や方向性に共感してくれない」
せっかく求人費をかけて採用しても、ミスマッチが起きればそのすべてが水の泡です。
技術やスキルよりも、「あなたのお店と合うかどうか」が重要だと痛感する経営者も多いでしょう。
これは恋愛と似ていて、見た目やスペックに魅力を感じて付き合っても、性格の不一致で別れるみたいなことがありますよね。
実はこの“ミスマッチ”を防ぐためにも、「ペルソナ設定」がとても重要な役割を果たします。
なぜペルソナ設定が「スタッフ採用」に関係あるのか?
多くのサロンがペルソナ設定と聞くと、「お客様に向けたもの」と思いがちです。
もちろんそれは正しいのですが、本当に強いサロンをつくるためには、スタッフがペルソナを理解していることが重要です。
なぜなら、ペルソナが明確になることで、
✔︎どんな人を満足させたいのか
✔︎どんな接客が求められるのか
✔︎どんな価値観で日々働いてほしいか
という、お店のスタンスや接客の基準が自然と明確になるからです。
ペルソナがあるから、「誰と一緒に働くべきか」が見えてくる
たとえば、あなたがペルソナとしてこんな方を想定していたとします。
✔︎42歳
✔︎仕事と家庭を両立する働く主婦
✔︎目元のたるみが気になりつつも、職場でも清潔感を保ちたい
✔︎毎朝のメイクがストレス
このような方を対象にサロンを運営している場合、以下のようなスタッフ像が見えてきます。
✔︎丁寧で落ち着いた対応ができる
✔︎清潔感と安心感がある見た目や言葉遣い
✔︎相手の悩みに共感しながら、穏やかに提案できる
✔︎年上の女性にも物おじせず、敬意を持って接することができる
逆に、トレンド先行型でカジュアル系接客のスタッフを採用してしまったら、お客様との接客に温度差が生まれ、次第に「違和感」が蓄積してしまいます。
これは、スタッフ本人が悪いわけではなく、お店のペルソナに合っていないだけです。
なんなら、合わないスタッフを見極められなかったあなたの責任です。
だからこそ、「お客様のペルソナを設定すること=採用の基準を明確にすること」でもあるのです。
面接で「雰囲気が良かった」だけでは失敗する
美容業界の採用では、どうしても「技術力」や「人柄の良さ」だけで判断してしまいがちです。
しかし実際には、
✔︎丁寧すぎてお客様に遠慮してしまう
✔︎話し方がカジュアルすぎて年配のお客様に引かれてしまう
✔︎スピード重視の技術でクオリティが合わない
というように、接客のニュアンスのズレがトラブルや不満の火種になることが多いのです。
ペルソナを設定していれば、「このサロンのお客様に好かれる接客とは?」という基準ができ、採用基準もブレなくなります。
スタッフも「誰のために働いているか」が分かると、仕事に誇りを持てる
もうひとつ大きなメリットがあります。
それは、働くスタッフ自身も「このサロンはこういう人のためにあるんだ」と理解できること。
自分が何のために、誰を笑顔にするために働いているのかが見えたとき、スタッフは“ただの労働者”ではなく、“チームの一員”としての誇りを持ち始めます。
✔︎カルテの書き方に気を配れるようになる
✔︎提案の内容も「お客様の生活」を想像できるようになる
✔︎クレームではなく「信頼のチャンス」と捉えられるようになる
これは経営者がいくら理念を語るよりも、ペルソナがスタッフの心に“お客様像”を焼きつけてくれるからこそ起こる変化です。
ペルソナがあるサロンは、人材もブランドになる
✔︎ペルソナ設定を通して、お客様の軸が決まる。
✔︎その軸に合うスタッフを採用する。
✔︎スタッフもそのお客様のことを理解して接客できる。
この流れができると、「サロン=ブランド」「スタッフ=信頼の象徴」となります。
つまり、
「◯◯さんの接客が好きだから通ってる」
「このスタッフがいるから安心」
という、“人で選ばれるサロン”へと変わっていくのです。
一見、人材育成とは全く関係ないように思えるお店のペルソナ設定が、実は大きく関わっているということが理解できたでしょうか。
スタッフごとに得意なお客様が違うというのは、一見、幅広いお客様に対応できてプラスのように感じると思いますが、そのスタッフが辞めた時にゴッソリお客様も離脱してしまうので、お店にお客様が定着しません。
それだと、なにも積み重ならず経営者として疲弊していくだけなので、ペルソナ設定をちゃんとしてその流れを断ち切りましょう。